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浴衣姿で息を弾ませ僕のもとへ走って来た君
「浴衣なんだから少しは女らしくしなよ」
こんな時でさえ意地悪な言葉しか出てこない
少ししゅんとして俯く君を見て心がキュッと締め付けられる
君に聞こえるか聞こえないか位のちいさな声でごめんと呟いた
「人が多いから迷子にならないようにね」
と僕が君の手をひくと、君は嬉しそうに笑ったね
ひゅう……どっかーん
見上げれば空に大きな万華鏡
二人で初めてみる花火
色とりどりの花火に君は大はしゃぎ
「綺麗だね、綺麗だね」
花火が上がる度に君は言う
花火に照らされた君の横顔がとても綺麗で思わず
「綺麗だね」
と言ってしまったんだ
無意識にこぼれ落ちた僕の言葉がどうか聞こえていませんように
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