線香花火

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「花火しようよ」 いつだって君は突然 僕の都合なんてお構いなし でもさ、君の屈託のない笑顔を見せられたら断れるわけないじゃあないか 「仕方ないな」 微笑み返して君の手をとる 去年の僕より少し進歩しただろ? 二人花火を買い込んで、たわいもない話をしながら土手へ向かう どんなにくだらない話だって君は真剣に聞いて、笑って、怒って…… まるでちいさな子供のよう 口にする事はないけれど、僕はそんな君が大好きなんだ 土手に着いた僕たちは大物花火から火を点ける 「綺麗だね、綺麗だね」 って君は言う 去年の花火大会を少し思い出して僕は笑う 最後に残った線香花火 火を点けると君は暫く黙り込んだ そう、いつだって君は突然 僕の都合なんてお構いなし 線香花火の最後の灯を落とさない様に僕は頑張ったけれど、 パチパチと音を立てておちていった 一人で帰る道のりは来る時よりも遠く遠く感じた
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