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なんて失礼な奴。 「なあ、お茶持ってきてくれたんだろ」 くれ。そう言って何事も無かったかのような態度にも腹が立ったが、立腹しながらも机に置いておいたお茶を渡した。 そして彼は一気に飲み干した。 「折角人が助けてやったのに」私はぼそりと呟いた。 「助けて、なんて言ってないからな むしろ逃げろ、とまで言っただろ」 そりゃ持って帰ったのは私の責任であり私のエゴだ。 言い返せなくなり私は畳に目をやった。私は俯いていた。 すると温かいものが頭の上へ置かれた。くしゃくしゃと私の栗色の髪の毛を撫でた。 その手は酷く優しかった。彼なりの礼なのだろうか。 すると手は退けられ少し寂しさを覚えるとすぐ 「まあ、あの時拾ってくれたのが俺の手当てをしてくれた綺麗な姉さんだったらなお良かったけどな」 かっちーん。 「貴方は一言二言余計よ!」 「何がぺったんこよ 私だって叔母さんのような胸が欲しかったわよう……」 ぶつぶつ文句を言いながら私は食器洗いをしていた。 その次の日、私は彼の部屋に食事を持っていった。
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