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「ん、ああ、君か」 「悪かったデスネ」 ずかずかと部屋へ入り、彼の側に食事を置いた。 「叔母さんが作って下さったものばかりですので美味しいですよ」 「なんか嫌な言い方だな」 私はにっこりと作り笑いをして言った。実際叔母さんが作る料理は文句無しに美味しいのだけれど。 ふっくらの白米に湯気が立って良い匂いがするお味噌汁、漬物少々、そして焼き魚。 の傍らに。 「なにこれ」 「私の愛情ですわ」 私がわざとらしく、ほほほと笑う。 そこにあったものは丸くて可愛らしいお饅頭のはずだったが見事に形が潰れていた。 「じゃあ君は俺に少なからず愛情を抱いているということか」 「はい、憎悪という愛情ですが」 「………」 和菓子を作っている間に急に昨日のことを思い出してしまいこういう結果になったのだ。和菓子には申し訳ないけれど。 しかし彼は目線を可哀想なお饅頭に戻し、一つ摘まんで口に入れた。 それから他の食事に手を付け始めた。流石に色んな意味で不味かったのだろうか。 ああ、睫毛は長いし意外と良い顔立ちしてるから余計にムカつく……といつの間にか彼の横顔を眺めていた。 「そんな見られると食事が出来ない」 「あ、すみません……また片付けにきます」 私は我に帰って一礼して、たどたどしく部屋から出た。
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