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「栗……ちゃん?」 「へーい」 あの後少ししてから、片付けのため奴の部屋へ行くとまた案の定ぐさぐさとまあ人が気にしている所ばかり鋭く指摘されたのだ。 叔母さんみたいなぼんきゅっぼんだったらなあと思わなくもない。自分の胸辺りを見下ろしては溜め息をついた。 「飼い犬に手を噛まれてしまいましたとさ」 「あらあら、拾ってきたのは誰?」 「私です」 私が拾ってきました。 だからお世話をするのは当たり前なのです。だけれどもあの仕打ち。 「そういえば……栗ちゃんのお母さんも犬を飼ってたわ本物のね 確か、貴女が生まれて二、三年で亡くなっちゃったらしいけれども……んー」 叔母さんは可愛らしく口に手を当てて記憶を取り出していた。私も今度真似してみようかな。 「白いまるまるってして可愛かったわ 棗さん……貴女のお父さんだけには、最後まで全然なつかなくてね」 そうそう、と叔母さんは可愛らしい笑顔で懐かしそうに言った。 「じゃあお母さんと私にはちゃんとなついていたのですね」 「え?……あ、うん、そうね」 彼女は少しきょとんとしてから頷いた。 「栗ちゃんはちょっと扱いが荒かったけれどね、わんちゃんの方が大人だったのかしら」 「ちょ、それは……ほら、まだ私小さかったときですし、ね」 たまに小悪魔的な印象を与える叔母さんの笑顔には男もいちころなんだろうなあ。それにしても皆してなぜ私を弄る。
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