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「うわぁぁぁ!」
本気で驚いた。
確かに去っていったはずの黒い男。
それがリビングのソファーに座っている…。
「あ、あぁ、あんたどうやって…!」
「………」
質問には答える気はないといった感じで押し黙っている。
「な、何しに来たんだ!」
それを聞くと男は立ち上がり、リビングの棚を漁り出した。
「な、勝手に何して……」
男は封筒を取り出した。
昨日ポストに入っていた封筒…。
「これは私が贈った物だ…」
再びソファーに戻って腰掛けた。
「いつまでそこに立っているんだ?座れ」
自分の前に座るように促した。
逆らうのも怖いので素直に従い、男の正面に座った。
「……それで、何の用だ」
男はポケットから黒い手帳を取り出し、パラパラと捲った。
しかし何もかも黒い男だ……。
「八城昌孝。20歳。誕生日は6月3日。O型。現在フリーター。勤務先は自営の販売業。両親の仕事の都合により実家でありながら一人暮らしの生活を送っている……間違いないか?」
誕生日や家庭事情まで知っている……悪寒が走る。
「沈黙は肯定…間違いないな」
手帳をポケットへ戻し、封筒に手を伸ばした。
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