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テーブルに黒いノートを取り出し、俺に突き付ける。
「お前は…行使者だ」
「………はあ?」
脈絡のない言葉に思わず間の抜けた言葉が出た。
いきなり不法浸入されて、俺のプロフィールを暴露し、棚を漁られて、コウシシャ…?
「ちょ…ちょい待ち。何を言ってんだ?」
男はアゴに手を当て、訝しげな顔をした。
「ふむ…少し性急過ぎたようだな…。これは悪かった」
男は帽子を取って頭を下げた。
男の髪は真っ白だが、顔立ちからは若い印象を受ける。
「では…改めて説明しよう。まず、私の名は浅田仁。お前にある能力(チカラ)を授けに来た」
「……能力(チカラ)?」
胡散臭さは消えないが、男……仁はゆっくりと説明を始めた。
「まず…私がお前に何をしたか覚えているか?」
「……交差点で俺を殺そうとした」
仁は口に手を当てて小さく笑った。
「クク…確かにそうだ。だがな…お前はその後を覚えているだろう?」
その後……あの時間が戻った時か…?
「時間が戻った……端的にはそうだ。だが、それは私がお前にしたことだ」
「………はぁ?」
「それがお前に授ける能力……『リセット』だ」
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