記憶

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玄関を出て鍵を閉める。そして… 「おはよう。昌孝」 紗季の挨拶。 いつものことと言えばそうだが…今は…。 「…?どうしたの?変な顔しちゃって」 「えっ?ああ…おはよう。ちょっと寝不足なだけだよ」 適当な嘘で誤魔化すと、紗季は俺の髪をじろじろと見ていた。 「……寝癖、ついてるのか?」 「え?知ってるのにつけてるの?」 紗季は自分の後頭部を指差しながら不思議そうな顔をする。 気付かなかったはずの寝癖に気付いている。 やっぱり…これは。 「まぁいいわ。遅刻するんじゃないわよ」 手を振りながら俺とは逆の道を紗季は歩いていった。 俺は重い足取りのまま、仕事場へ歩き出した…。
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