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「 …おい、起きな兄ちゃん」
…なんだ……誰だ…
「起きなって!」
バチン
「痛ってぇ~~」
俺は顔の痛みで意識が戻った
頭はまだ朦朧とし、目の前がチカチカする。
やっとの思いで目を開けると俺をグラサンの男が見ていた
「だっ誰だ!」
「寝起きから、うっさいやっちゃな~」
体をおこし周りを見回す
大きなホールのような場所にいた
たくさんの人がいる
前にはステージがあり
ステージの真ん中に大きなスクリーンがあった
そして、スクリーンの前には見覚えのあるものが…
「…柱時計
…そうだ!、俺は女に連れ去られたんだ」
ステージには柱時計が置いてあった
俺はやっと完全に目を覚まし周りの状況を把握し絶望した
「…夢じゃなかった」
放心状態の俺にグラサン男が声をかけた
「どうやら、兄ちゃんも俺らとおんなじ見たいやな」
「…えっ?」
「メールに返信しディーラーに柱時計に引きずりこまれたんやろ?」
「…引きずりこまれた?」
「あっそうか!兄ちゃんは気絶してたから知らんのか」
そう言い
グラサン男は笑っている
「なにがですか?
ってか兄ちゃんって止めてください
祐司って名前があるんです」
「すまん、すまん
俺は板垣組の構成員やってる北條虎治(ほうじょうとらじ)や
んで、祐司この状況どう思う?」
この人暴力団?
見た目どうりだな
まぁ、見た感じそこまで悪い人の雰囲気はしないけど
「…知りませんよ
ってか北條さん?は何でそんな落ち着いていられるんです!?
連れ去られたんですよ!」
俺は思わず怒鳴った
意味不明の状況で笑っていられるこの人に酷く腹がたった
「まぁ、俺はここに連れ込まれて1時間弱経ってるし、こう言う状況には慣れてるんでね」
北條さんは真面目な顔で言った
この人はただのいかついおっさんじゃないなのか?
1時間ぐらいじゃ俺はまだパニックしてるだろう
北條さんと話をするうちに頭は冷静さを取り戻し思考回路が動き始めた
変なおっさんだけど、おかげでムダにパニックにならないですんだ
…ここから出なきゃ
「祐司、俺がここに来てから分かったことを教えてやる」
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