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「まず、俺らの共通点はあのメールにYESと返信したこと
連れてこられた奴は男女年齢も職業もバラバラや」
「何で、そんなの分かるんですか?」
「ここにいる奴らに片っ端から声をかけたんや」
…どんだけ行動力あるんだよ
ピロリパラリピロピロリン
北條さんと話しているとあのメロディーがホールに流れた
「こっ今度はなんだ?」
動揺する俺とは対象的に落ち着いたままの北條さんは話を続ける
「このメロディーがなると時計から新たに人が連れて来られるんや」
そう言い北條さんが柱時計を指差す
俺も視線を時計に向ける
時計が開きあの女が姿を現した
「…ディーラーF」
ディーラーFに引きずられるようにし小太りのスーツを着た男が表れる
「離せ、どこに連れてく気だ!」
ディーラーFはもがく男を軽々とステージに放り投げ
再び柱時計の中へと消えた
「なんだここは!?」
男は罵声を放ちながら時計のドアを開けようとする
「…俺もああやってここに来たのか」
このアニメのような出来事が現実なのを再認識させられ言葉を失なった
「柱時計のドアは絶対に俺たちには開けられない
祐司を連れてきたのはさっきのディーラーか?」
「はい」
「…そうか
ディーラーは今まで見たんわ2人
ディーラーFとディーラーIだ
俺はディーラーIに連れ去られた
ディーラーは女だが
殴られようと蹴られようとびくともせん
あの男を投げたのからも化け物だって分かるだろ」
「…はい」
「さらにダメ押しするようで悪いが通信機器は全て使えないぞ
今、俺が分かるんわこのくらいや」
「…そうですか」
思考は再び止まりかけていた
1度に色々な事が起きすぎ頭はとっくに容量オーバーだった
もう一度周りを見回す
ホールの壁は全てコンクリートが剥き出し
窓も扉も無い
これじゃあ、出口の探しようもない
連れ去られた人達は
泣いていたり、怒っていたり
しゃがみこんでいたり、立ち尽くしていたり
みんな違った事をしている
「…何が始まるんだよ」
ピロリパラリピロピロリン
ピロリパラリピロピロリン
メロディーが再び響く
「…また、誰かくるのか」
柱時計を黙って見つめる
「…なんだ?」
時計からは2人のディーラーが出てきてステージの両端に立った
「…なんか始まるで」
北條さんも身構えている
『カードは全て揃った』
ホールに響く声
そしてスクリーンに映像が写し出された
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