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「動くな
お前らを逮捕する」
銃声の方向には警官の制服を着た中年の男がいた
がたいが良いその体から見ても本物に見える
参加者として連れてこられたのか?
「静粛にお願いします」
銃を向けられたディーラーIは顔色ひとつ変えない
「黙れ、手を頭の後ろで組んで床に伏せろ
次は当てる」
Iと警官がにらみあう
周りの人々からは助かったとか、やっちまえと言う声があちこちで聞こえる
『…撃ちなよ』
2人に声をかけたのはディーラーJだった
「お前、何を言ってるんだ!?」
その一言に警官は動揺する
『早くしないと、Iちゃんに殺されちゃうよ』
Jはこの状況を楽しんでいる
ディーラーIはただ姿勢よく立ち
話を聞いているのかどうかすら分からない
「あぁぁぁ~」
バァン
警官がうめき声のような声を出し銃を撃った
「…マジかよ」
ディーラーlの額には穴が空いている
だが、ディーラーlはその場から一歩も動かず立ち尽くしていた
…死んだ?
『Iちゃん、反撃して良いよ』
「了解致しましたJ様」
「生きてる!?」
ありえない光景に腰を抜かしたり
悲鳴をあげた参加者もいる
警官はかろうじて銃を構えているが足は震え膝が笑い
立っているのがやっとのようだった
Iは片手を上げ警官に向けた
「止めろ、ぎゃぁぁ~」
警官が叫ぶ
そしてIの手から白い霧のようなものが出て警官を包んだ
だんだんと霧が晴れ
俺の目に写ったのは全身が凍りついた警官だった
「…本物の化け物や」
北條さんが呟いているのが聞こえた
恐怖で全身が震え床に座り込んだ
『ディーラーに挑むのは自由だけどさ君たちじゃ勝てないと思うよ』
Jは笑いを堪えながらそう言う
…何考えてるんだよ
『前座もそろそろ飽きたしさ
始めよっか』
Jが足を組み直し
大きな声で言い放った
『ばばぬきスタ~ト』
同時にスクリーンがステージに落ちる
スクリーンの後ろには観音開きの扉が1つあった
「…あんなとこにドアがあったのか」
ディーラーIとFが扉の前まで歩いていくとノブをそれぞれに持ち、扉を開いた
日の光と思われるものが扉の向こうから差し込む
人々はほとんど自動的に扉に走り込みパニックとなった
まさに地獄絵図である
俺は腰を抜かし
ただ黙って座り込み様子を眺めていた
ひゃはひゃはははは
ひゃはははははははは
人々の悲鳴の中にJの笑い声がいつまでも響いていた
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