ー日常ー

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「結局ここまで来ちまったよ」 俺は来た道を戻りながら携帯を探して教室のドアの前まで来ていた 「マジで、ついてないな」 ここまで来て無いということは… 教室で落としたか、誰かに拾われたかしか可能性は無い 「拾われてたらめんどくせぇな」 俺は大学じゃ地味な生徒だ 俺の名前を知ってる人はほとんどいないだろう つまり…… ……拾われたら俺まで届く可能性は低い 「はぁ~」 ため息をつきながら教室のドアを開ける 「…マジかよ」 教室に入ると予想外の光景があった そこには紀香さんがいたのだ ……俺の携帯を手にもって 「正解は、教室で落として片思いの娘に拾われたってか…」 紀香さんは急に入って来た俺にびっくりしているようだった 「あっあの、それ俺の携帯…」 そう言い紀香さんの手にある携帯を指差す 「あっ、すいません返します」 そう言い紀香さんは携帯を俺に差し出した 「謝んなくていいっすよ 落とした俺が悪いんですし 拾ってくれてありがとうございます」 「いえ、お礼なんて」 やっぱ、こういう控えめなとこも可愛いよな 「ってか、紀香さんは教室で何してたんです? 講義は終わってますし」 「講義のノートをまとめてたんです私、書くの遅いんですよね」 えらいな、ノートすらまともにとってない俺とは大違い 「祐司さんこそどうしたんですか?」 「えっなにが?」 「なんか今日の祐司さんらしく無かったから」 ヤベぇ変な印象持たれたかな… 「大丈夫、何でもないよ 偶然ついてないだけ」 「なら良かったです 祐司さんにもそんな時あるんですね」 「まぁ、たまにはね」 だらしないやつだと思われてんじゃん マジでついてねぇな 「祐司さん静かで話しにくいイメージあったんですよ 意外に明るい人なんですね」 ……えっ…まさかの好印象? 「あっ私そろそろ行かないと また明日」 「…あっああ、またね」 そう言い紀香さんは教室を駆け足で出ていった 俺、今日ついてるな
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