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「くそっ、あいつ食いすぎだろ」
俺は家までの道を一人で歩いていた
時刻は12時を回っている
帰りに陣と牛丼屋に行きおごってやった
だが陣は5杯も食べ
なぜかそのまま流れで飲みに行くことに
さすがに飲み代は割り勘だったけど
陣が8割がた食ってたよな
なのに5:5
「あいつ顔良いのに大食いだから彼女できないんじゃないか?
もう、あいつには二度とおごらねぇ」
ボーンボーンボーンボーン
「なっなんだ!?」
いきなり辺りに不気味な音が響いた
俺は足を止め周りを見回す
音の出どころはすぐに分かった
5mほど後ろの道の真ん中に大きな柱時計があったのだ
ボーンボーンボーンボーン
柱時計は鳴り続けている
「なんで、あんなとこに時計があるんだ?」
俺はパニックになりその場から動けずにいた
柱時計があるのは歩いてきた道の真ん中だ
あんなデカイ時計に気づかないはずは無い
「ちょっと飲みすぎたかな…」
ボーンボーンボーンボーン…
時計は12回鳴ると止まった
「…なんなんだよ」
思い当たる節がないか記憶をたどる
「そうだ…あのメールだ」
あの、『ばばぬきしませんか』と言うふざけたメール以外に心当たりは無い
急いでメールを見ようと携帯を開こうとしたその時
『ボーン』
鐘を鳴らし終え静かになっていた柱時計がひときわ大きく鐘を1回鳴らす
「13回目の鐘…」
俺は携帯を握りしめたまま金縛りにあったようにその場に立ち尽くしていた
酔いはとっくに覚め、全身が汗でぐっしょりと湿っている
ピロリパラリピロピロリン
ピロリパラリピロピロリン
今度はあの音が鳴り響く
体が驚きでビクンと震える
「もう、いい加減にしてくれ…」
手の中で軽快な音を鳴らす携帯がバイブを繰り返す
震える指で携帯を開くと
画面には『新着メール』と表示されている
「はぁ…はぁ…」
喉が妙に渇き、息がしずらい。
「…はぁ」
俺は深呼吸をしメールを開いた
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