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男は振り上げた拳を収めると俺から離れ、吐いた。
「へ?」
まったく何が起こったのか分からない。
「ぐっ……お前……そんな穢れたものを……はぁ……はぁ……つけて正気でいられるな」
「穢れたもの?」
俺はとっさに自分の衣服を見回すが、別に目立った汚れは無い。
確かに……ワイシャツは洗うのが面倒くさくて昨日のを使い回しだが……。
そんなに臭くは……。
「う゛お゛ぇっ……お前……気付いてないのかよ……」
男はさらに吐く。
「気付くと言われましても……」
むしろ、そんなに吐かれるとかなり心外です。
涙出そうですよ、はい。
「くっ……これじゃ回復どころじゃねぇな。うぉえっ……今日のところは見逃してやるよ」
そんな雑魚キャラフラグを立てて男は教室の窓を突き破った。
「は?」
ここは三階だぞ。
「おい、ちょっと待て……」
追いかけて突き破られた窓の下を覗き込むと、
「誰も……いない……」
階下には街頭もあるので下まで見えないことはない。
そこにあったのは夜の静寂だけであった。
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