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「霜月、大丈夫か?」
俺は腰をついたまま事の推移を見守っていた霜月に手を伸ばした。
「えっ……ああありがとう」
「その……なんというか……コレ」
自分の着ていたダッフルコートを渡す。
さっきまでは月明かりの影で分からなかったが、彼女の服装は乱れたセーラー服と薄いカーディガン一枚だったのだ。
「へ?」
彼女のクルッとした大きな双眸が俺を見つめる。
こういう時どうやって声をかければいいのかよくわからないけど……。
コートとかはぎ取られたんだよなぁ……雪が降る寸前の気温なのにそんな薄着なわけないし。
想像も絶するような恐怖だったに違いない。
コートを渡されて困惑してる。
俺はそんな彼女にコートをかけてやると、
「はわっ……あありがとう」
「どういたしまして」
「……」
「……」
「……」
「……」
えーと、ただでさえあんまり会話したことないのにこういうときどうすれば……誰か……助けて。
彼女の方も何を話すべきか迷っているのかお互い見つめ合ったまま気まずい雰囲気に。
ーーその時。
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