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人生には三つの坂があるという。
上り坂、下り坂……そしてまさかの坂と。
もしかしたら俺は今、まさかの坂の真っ只中にいるのではないかと思う今日この頃。
拝啓。天国の母上様。
むしろママンとでも言うべきだろうか。
いや、あえてフランス語を使うよりもドイツ語を使ったほうが…………まぁ、そんなことはどうだっていい。
事件です。
「パパ! えへへ、できたー」
場所はいつもと変わらないはずの自宅のリビング。
なのに、俺の膝の上には昼食に用意されたオムライスにケチャップで似顔絵を書きながらはしゃぐ幼女がいます。
いや、そういう趣味じゃないですよ。決して。
えーと、なんていいましょうか……。
色々事情があるんです。
とりあえず、怒らないで聞いてください。
彼女は。
「自分の娘を膝の上に乗せて何ニヤニヤしてるんですか、穢らわしい。とりあえず、教育上よくないので離れろこの脳内ハーレム野郎」
いやいや、ハーレム野郎って……それにニヤニヤしてなんかないし、むしろ困惑してたんですけど!
そんな罵声を浴びせてくるのはテーブルの向かい側に座った巫女服姿の少女。
艶やか黒髪に透き通るかのような白い肌、いかにも清楚といった雰囲気であり、着ている巫女服に違和感を感じさせないような大和撫子であるが……。
「そっちの方が教育上よくないだろ! 穢らわしいとかハーレム野郎とか」
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