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駅まで歩いても軽く二時間はかかるだろう。
そうすると終電には間に合わない。
学校に泊まるか……。
といってもうちの学校は合宿所などの宿泊施設などはないし、ましてや宿直室なんてないから教室で寝るしかない。
今日は確か雪が降ると予報で言ってたような。
窓の外は既に白いものがチラチラと舞っているかのようにみえる。
「終わった……」
「えーと……何が?」
うなだれる俺に対して困惑の表情を浮かべる霜月が訊いた。
そういえば彼女はどうなのだろう?
バスの最終はもう無いはずだが。
「なんというか……最終のバスがもう出ちゃって今日は帰れない的な意味で終わったよ。あーなんか俺のせいで遅くなっちゃったみたいだけど霜月は帰りはどうすんだ?」
「私は大丈夫だよ。学校は家から徒歩五分だしね」
「五分?」
「そう、すぐ近く。今日帰れないなら泊まってく?」
頭にイメージするのは暖房の効いた暖かい部屋。
あぁ、そんな部屋で一夜を過ごせるならば、
「是非とも!」
この時の俺は目先の欲望に負けて注視していなかったのだ、彼女が微かに笑みを浮かべたことに。
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