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「怖かったの?」 「…だって、向こう2人だし、腕、掴まれたらさ。」 天使ちゃんは急にしゅんとして、小さくなる。 俺は急にすごく申し訳なくなる。 そして、天使ちゃんが急に可愛く見える。 「ごめん。そうだよね。 …あ。」 俺は鞄のポケットに手を突っ込んだ。 「ほら、これ食べて元気出して。」 前に貰ったはちみつレモン。 きっと天使ちゃんはこの飴が好物に違いない。 俺は食べ物であやすという、お子様向け戦法に踏み切った。 「いらない。 それ、こないだのお礼じゃない。」 「食べたら元気出るよ?」 少しでも元気を出してほしくて。 貰ったものを元の持ち主にまたあげるのも変だと思ったが、食べるよう促す。 「…私、はちみつ嫌いなのよ。 だから、いらない。」 は? 食べれないから俺に渡したのか。 何か、やっぱり全然可愛くないかもしれない。
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