本当の本気

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その後も、その本気の練習は続き、練習開始から5時間、ようやくキャッチャーが決勝戦と言った。 子ども達の声は、全員がしゃがれ声となっている。 走るスピードも、ずいぶん落ちた。 私は、バットを降り続けているため、腰がパンパンに張り、もう限界だった。 そして、握り続けている左手は、マメはとっくに潰れて、痛みに負けぬよう力いっぱいバットを握り続けた結果、開かなくなっていた。 それでも、決勝戦の響きに全員が奮い立ち、元気を取り戻した。 もちろん、体のキレはもうないが… 6時間を経過しようとした時、最後のアウトを取った瞬間、私を含め全員がグランドにひれ伏した。 その後集合した時、まだ13歳の子ども達が、大人の顔つきで集まってきた。 この顔付き、写真に撮りたい衝動に駆られた。 そして、ミーティングを始めた。 「おまえら、今日の本気、卒業までやり続けろよ!」 「はい!!」 「以上、解散。お疲れさん!」 印象に残したかったので、たった一言、精一杯格好つけて言って振り返り歩き出した。 すると、選手に声を掛けられた。 「コーチ!!手…」 私の手から、ポタポタと血が落ちていた。 背中を向け、血の出る左を「お疲れ!」というように挙げ、黙々と家路につこうとした。 「うわぁ、格好いい。」って声を、丸聞こえだってと思いながら… これが、この子ども達の担当として最後の練習となった。 伝わったかな? 『本当の本気』
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