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ボクの名前はトモ 現在の状況は… 路地裏の行き止まりで折れた角材を握りしめて座り込んだまま震えている いや、 座り込んでいるというより腰が抜けて立てないなんて情けない格好になっている だが仕方がないんだぜ? だって目の前に三匹の犬がいるとしたら? いや、少々訂正を加える 目の前にボクを食べようとしている三匹の犬がいるとしたら? しかも手に持っている武器が折れて使い物にならない角材だけだとしたら? 実際こんな現場に陥ればわかるだろうが、怖くてまともに立てないよ? まあ…とりあえず辺りを見回す この期に及んでまだ生きることを諦められないボクだがそのあいだにもジリジリと犬達がにじり寄ってくる しかしボクもまだ悪運尽きないようだ 2メートル少々上ぐらいにベランダがある あそこしか助かる道はないだろうな… ボクは冷静に考え(てるフリをし)ながらゆっくりと体を持ち上げる そして跳ぶための助走をつける 走り出したと同時に食料(ボク)に対して一匹の犬が走ってくる そしてほぼ同時に跳ぶ が、一瞬ボクの方が早かったらしい てすりにぶら下がっているがちゃんと両足が揃っている よじ登ろうと右足をベランダの手すりにかけると… さらに跳んでくると思うだろ?この流れだとさ …まあとんできたよ? 頭がな!! 「うわああぁぁぁ!!」 初めてこの小説内で出した声が叫び声だった 自己嫌悪に浸っていたいが相手もボクを食べようと噛みつこうとしてくる ふと手に意識がいく 角材だ! 道理で登りづらい訳だ! とっさに角材を頭に投げつける 「んぬああぁぁ!!」 もう二言目も叫び声とか気にしねぇ!! 回転がかかりながら勢いよく当たる …全力で投げたよ? そりゃ生きたいし… だからって空中で潰れるかな… 「っっっ!!」 返り血がもろにかかる 怖くなって無理矢理ベランダを登りきりそのまま窓ガラスを割って屋内に避難する 「いってぇ…」 だが生きている もう頭も飛んでこないし、下から吠える声も聞こえてこないし少しは安全だろう とにかく食料もあるらしいし、少しのあいだここをお借りしよう そしてその場に倒れ込みそのまま一夜を明かした。
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