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ある夏の雨の日。
いつものようにバイトを終えた俺は、独り暮らしのボロアパートの階段を昇っていた。
今日も店長にしごかれて、疲れていた。
早く布団に入って寝たかった。
が、そこに俺の部屋はなかった。
玄関の外に荷物がすべて置いてあり、
“佐坂春樹
家賃停滞”
と書かれた貼り紙がしてある。
あぁ、ついにきたか。
俺はろくな仕事にも就けず家賃を停滞しっぱなしだったから、いつかくるだろうとは思っていた。
でも、覚悟していた割には正直キツい。
これから行く宛もないし、俺はどうすればいいんだろう?
とにかくここにいるのも辛いから、俺は段ボールを抱えてアパートを後にした。
路頭に迷いながらふと目に留まったのは、河原。
地面が芝になっていて柔らかそうだったし、橋の下なら雨が凌げると考え、俺は取り敢えずそこで一晩を過ごすことに決めた。
―今思えばこの時、既に俺たちの運命は動き始めていたんだ…。
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