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「もう学校は見回った?」
「まっ、まだ見てないです!」
パチクリと目を瞬きさせる由良。
なんか、面白い。
「じゃぁ、案内するよ!」
『いいんですか!?』
私たちは、つい大きな声を出してしまった。
実は、誰かに案内してもらいたかったんだよね・・・・・。
「じゃぁ、行こう!
って、あだっ!!!」
中川先輩の頭には握り拳が乗っている。
ゲンコツ・・・・・?
「何すんだよ、痛いじゃねーか! 寛貴!!」
中川先輩が『寛貴』と呼んだのは、黒髪の少しウェーブのかかった髪で、背の高い人だった。
私の心臓が『ドクンッ』と鳴った。
何だろう・・・・・この気持ち・・・・・。
「何って・・・ゲンコツだけど?」
何事も無かったかのようにあっさりと言う。
「ゲンコツだけどって!!何にも悪いことしてないじゃん!!!」
「あぁ、悪いことじゃない。けど、今は部活中だ。悪いが一年に構っている暇は無い。」
琥珀色の瞳で、中川先輩を睨む。
中川先輩は『はぁ?』とその先輩に反抗した。
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