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いきなりの事で受け身も取れずに、腰をしこたま打ち付けたようだった。
視界が光りに埋もれていて、目を開けていられない。
「ゲットです」
先程の可憐な声が聞こえる。
「こいつも……トリガー?」
答えたのも麗しい声だった。
ただ、声質からある程度成熟した女性の声だと分かる。
「……こんなに必要なわけ?」
「今回はイレギュラーが多過ぎる為かと。多分、それを埋めるための――数撃ちゃ当たるではないでしょうか?」
「身も蓋も無いわね……。まあ、良いわ。エネアのフォーチュン・テイラーで呼び寄せたんだもの。確率自体は高い筈よね」
声を聞いていると、ようやく目が光りに慣れはじめた。
自分の体がびしょ濡れだと、皮膚が伝えて来る。
辺りを見回すと、そこは小綺麗な浴室だと分かった。
目の前には金髪碧眼のメイド姿の美少女と、赤髪紅いマントを羽織った美女が立っていた。
生まれたての小鹿のように足に力が入らない、自分を二人は値踏みするように見つめて来る。
いかに美人と言えど、好奇な目で見られるのは面白くは無い。
「とりあえず、貴方には選択肢をあげるわ。貴方、直前の記憶は? 大怪我を負っていたのは覚えている?」
赤髪の美女の質問に記憶をまさぐる。
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