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今日も退屈な非日常が始まる。
これはまだ世界が平和だった時の私の日常。
いつもそこには世界樹と呼ばれる大きな木があった。
その周りを囲むように私達の街は出来ていた。
街の人々は木の加護によって守られ、木を守りながら暮らしていました。
私もこの街、ユグドラシアが好きだった。
朝起きて、ご飯を食べて友達と魔法学校に行く。
世界樹に平和を祈る。
学校で初めに習うことはこれだ。
そして、毎日行う日課である。
私はこの時間が好きだった。
静かな礼拝堂で手を合わせて目を瞑る。
誰の声も聞こえないはずなのに自分よりとても大きな存在に包まれている気がして安心できたからだったと思う。
他の人には感じられない私だけの感触。
魔法の授業は嫌いだ。
みんなが使えた緑の魔法が私には使えないからだ。
おかげで私はいつも落ちこぼれ。
落ちこぼれだからといって何か不都合があった訳ではなかったけど、幼かった私は必死になって練習したこともあった。
自分の胸の奥底にある暖かな魔力の塊を世界樹にお願いして魔法に変えてもらうだけのことだ。
人一倍魔力はある私なのにどれだけ練習しても魔法を使えるようにはならなかった。
魔法の授業の後は歴史の授業だ。
この街ができるまではここいら一体は砂漠だったと知った時は心底驚いたことを覚えている。
授業が終わると家に帰ってお昼ご飯を食べる。
学校は朝だけで昼からはみんな家の仕事を手伝っていた。
この街は水で潤っていたのでその水を他の街に売ってお金を稼いでいた。
夜になるとご飯を食べて、お風呂に入ったら自分の部屋で寝るのであった。
そして、また日常が始まるのである。
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