とあるひとつの出来事

5/5
前へ
/274ページ
次へ
「むしろ待ちくたびれたほどよ」 「そう。それは、失礼したね。それじゃあ、始めるよ?」 「ええ。カウントは5でお願いするわ」 「了解。じゃ、また後で」 そこで、電話は切れた。 女は塔の先を見続ける。 トン、トンと、女の足がリズムを刻む。 一回、二回と同じリズムで。 そして五回目。 足が地面に着くと同時、 激しい閃光とともに学園長室が吹き飛んだ。 爆発による振動が、女の体を揺さぶる。 「これは序章にすぎない。われわれの『反逆』は、ここからが始まりだ!」 そう言い残して、女は姿を消した。 文字通り、一瞬にしてその場からその姿をかき消した。 爽やかな青空に、灰色の煙が立ち昇る。 黙々と、途切れることなく、何かを予感させるかのように。
/274ページ

最初のコメントを投稿しよう!

283人が本棚に入れています
本棚に追加