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「むしろ待ちくたびれたほどよ」
「そう。それは、失礼したね。それじゃあ、始めるよ?」
「ええ。カウントは5でお願いするわ」
「了解。じゃ、また後で」
そこで、電話は切れた。
女は塔の先を見続ける。
トン、トンと、女の足がリズムを刻む。
一回、二回と同じリズムで。
そして五回目。
足が地面に着くと同時、
激しい閃光とともに学園長室が吹き飛んだ。
爆発による振動が、女の体を揺さぶる。
「これは序章にすぎない。われわれの『反逆』は、ここからが始まりだ!」
そう言い残して、女は姿を消した。
文字通り、一瞬にしてその場からその姿をかき消した。
爽やかな青空に、灰色の煙が立ち昇る。
黙々と、途切れることなく、何かを予感させるかのように。
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