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音を立てて開かれた扉。
輪の身体は、倒れこむようにして外側へと放り出された。
「うおおっ!?」
そもそもが眩暈によって倒れ込む寸前の身体を支えることなど不可能だった。
ずべしゃ!
と、輪の身体は地面へと転がった。
「痛っ!」
打ち付けられた痛みに思わず声が出た。
輪は痛みに呻きながらも、立ち上がろうとする。しかしそこで、鋭い痛みが頭に走った。
打ち付けた鈍痛よりも、この頭痛が問題だった。眩暈の原因はおそらくこれ。
視界が歪み、平衡感覚がおかしくなる。
さらには吐き気までが込み上げてくる。
なぜ、いきなりこんなことが?
込み上げる吐き気にえづきながら、意味のわからない突然の頭痛に疑問しか浮かばない。
その時だった。
「あの、大丈夫ですか?」
誰かが輪に声をかけかけてきた。
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