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「先生!」
「ショウが、ショウが!」
「助けて!」
飛び込んできたのはおそらく三人。三者三様の言葉とトーンで、部屋にいた二人へと何かを訴えるようとする。
いままで話していた二人は、どうやら先生らしかった。
「落ち着いて!」
「ちょっと、ちょっと、落ち着いてまちなさい」
二人の女性は三人をなだめ落ち着かせようとする。だが、どうやらそうとうのパニックに陥っているらしく、三人は要領のえないことを喋り続ける。
「先生!ショウ君が!」
「くそ!だから『四天王』に手出すのはやめとけっていったのに!」
「早く手当てしなくちゃ!先生早く!」
「いや、だから……」
「先生、早く!」
「先生!」
「くそ、先生!」
なだめようとする先生を無視し、三人はハモる。
ここまで、声だけを聞いている輪にわかったことは、ショウという人が、早く手当てをしなくてはいけない状況にあるということ。
「あー、もう。落ち着きなさい!とりあえず、その子ところに案内しなさい!」
二人の先生もこの場だけでは拉致があかないと踏んだのだろう。三人に現場に案内するように指示し、この場を追い立てるように外へと追い出した。
バタリと、扉が閉まる音。
騒がしい話し声が、フィルターを介したようにくぐもった。どうやら全員が外へ出て行ったようだ。
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