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それは、軽賀崎という名の美人女教師の話。
ここは特別な才能を持った者たちの通う学校で、輪も自覚はないがその才能の持ち主であるという。
それは現実の話で、軽賀崎も昨日実際に手のひらで小さな竜巻を作って見せたし、獅子党校長も輪の思考を読んでみせた。
さらにこの学校には、様々な能力を持った生徒や先生が"仲良く"助け合いながら生活しているという。
ここは、そうした能力の開発と制御(コントロール)、さらには世間からの秘匿を目的としているらしい。
そういう話を昨日聞かされ、最初は信じられなかったが、軽賀崎や獅子党の力を見て納得した。
そして、軽賀崎はその力のことをこう呼んでいた。
ーー『秘匿された才能』(hided gift)と。
そういう"記憶"が、輪の中には確かにあった。
なぜ今まで思い出せなかったのかわからないくらい、自然とその記憶は自分に馴染んでいた。
不気味なくらいに「はっきりと」その記憶は輪の中に存在していた。
「上手くスイッチがいれられたようだ」
間人はさっきとはうってかわって疲れたような笑みでそういった。
そこからは、先ほどのような威圧感や不快感は感じられない。
周りの雰囲気もいつのまにか元に戻っていた。
「普段は私の役目ではないのだけれど、状況が状況なだけに先手を打たせてもらった。怖がらせて申し訳なかったね、六道君」
「え?あ、えと……」
今までとは全く違う雰囲気の中、いきなり謝罪をされ戸惑う輪。何がなんだか訳がわからない。
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