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意味のわからない、しかし不気味な予感を残した彼女の言葉。
秘密を暴こうとしている物達とはいったい誰なのか。
彼女の打った先手とはどういう意味なのか。
そもそも彼女は何者なのか。
結局のところ何もわからないうちに、彼女は去っていった。
そんなことを考えていると、冷んやりとした何かが輪の額に当てられた。
驚いて顔をあげると、輪の額に手を当てた黄泉国の小さな顔がすぐ近くにあった。
「うわあああ!」
恥ずかしさのあまり赤面とともに鼓動が速まる。
とうの黄泉国はキョトンとした顔で輪を不思議そうにみつめている。
これを無自覚にしているというのも、なかなか罪深い話である。
「顔が赤いわねえ、熱はないみたいだけど」
ーー大丈夫?
と、黄泉国は輪に問いかける。
その可愛い顔で小首を傾げてきくなあああ!
、という理性のぶっ飛んだ絶叫をあげそうになるのをギリギリで抑え込み、輪は小さく大丈夫ですと答えた。
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