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「もうすぐ次の授業が始まるんだけど、今日はどうする?」
「授業ですか?」
「うん。君の本業」
「授業、出てもいいんですか?」
輪は朝起きてすぐ、不可解な頭痛に襲われ意識をなくして、ここに運びこまれた。
そんな人間がすぐに授業に出ていいものなのだろうか。
そんな輪の問いに、黄泉国は少し考えてから、
「う~ん、まあ出たいなら、いいよ」
と、いった。
「いいんですか?」
「うん。調整が上手くいったみたいで、今のところ問題はないから」
カーテンの奥から聞こえた話と食い違っていたので、輪はおどろいた。仮縫いがどうとかいっていた気もするが、自分についての話だと思ったのはやはりかんちがいだったのだろうか。
「なら、はい、出たいです。授業、初めてですし……」
「そう、わかった。じゃあ、担任の先生に連絡しておくわ。たしか、軽賀崎先生よね~?」
「ああ、はい、そうです……たしか」
「OK!じゃあ、連絡してくるから、琴音ちゃんが来るまでここで待ってて」
そう言って、大きめのスリッパが発てるパタパタという音を連れて、黄泉国はもう一度部屋を出ていった。
その後すぐに軽賀崎が部屋に現れ、輪は初めてのクラスへと赴くこととなった。
こうして、大きな不安と、多くの疑問を抱えたまま、輪の新たな学園生活は幕を開けることとなった。
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