紅茶派の陽菜と、コーヒー派の凛と、緑茶派のイブキ。

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「……」 凛は腕組みをしてソファーにもたれ掛かり、人差し指で二の腕をとん、とんと叩く。 「ふーん。つまりお前にとっては、あたしらは漫画のキャラみたいなもんなんだ」 一瞬にして、空気が冷え込んだ。 イブキが目を伏せ、陽菜は怯えたように視線を外し、雅人は表情を失った。 「へー。そりゃあ雅人は何度も告白できるよなぁ。なにせ相手は理想のメイドさんのはずだもんな。雅人が好きな『ご主人さまのことが大好きなメイドさん』のはずだもんな」 凛は今度は膝に手をつき、雅人の方を向いて上半身を乗り出す。 「『二次元は裏切らない』ってか!? ハッ、そうだよなぁ、アニメキャラ相手なら好きだって言いまくれるよなぁ!」 凛の棘のある言葉は次第に語尾を強める。 「お、お姉ちゃん、そんな言い方……」 「いや、いいんだ、陽菜ちゃん」 「でも……」 雅人は陽菜を手で制止させ、深呼吸してから、凛をしっかりと見据えた。 「確かに、最初は『可愛いメイドさん』だったから好きになったことは否定しない。だけど好きな気持ちは、今も本気だ」 雅人の言葉に、凛はテーブルを叩き割る勢いで拳を振り下ろす。 木製のテーブルが軋み、コーヒーカップが不協和音を奏でる。 「あたしらは、てめぇのお人形じゃねぇんだよ!」
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