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自分のペースを崩された凛の心に、雅人の真剣な目が、力の篭った声が入り込んだ。
凛は思わず息を呑む。
息が苦しい。
呼吸って、どうやるんだっけ。
呼吸困難を起こす胸の奥で心臓が勝手に暴れて、熱い血液が頭を巡り、思考回路を掻き乱す。
胸に渦巻く、理解不能な感情。
――――なんで、なんでコイツのことが、かっこよく見えてくるんだよ!
「い、言いたいことって、なんだよ?」
何を言われるんだろう。
だんだん、自分が自分じゃなくなっていく感覚。
今、言い寄られたら、きっぱり断ることができるのだろうか。
そんな疑問を抱えていると、対峙する雅人は、大統領選挙の演説でもするかのように堂々と仰々しく言い放った。
「お前のどこが『理想のメイドさん』だぁあああああああっ!」
「…………は、はあっ!?」
予想外過ぎる発言に、凛の眉間にシワが寄った。
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