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普段の勢いは完全に失われ、林檎色のほっぺたを軽く爪で掻く。
その照れた様子は、姉妹ながら妙な庇護欲を駆り立てる魅力を持っていた。
凛は深く息を吐いた。
「そうだな……。陽菜も、ねーさんも、自分の気持ちと向きあったんだから、あたしも自分の気持ち、ちゃんと考えてみることにする。……だから、もう少し待っててくれ」
真摯な訴えに、イブキと陽菜は示し合わせたわけでもないのに、同じように頷いた。
「わかりました。焦る必要はありません。じっくり考えて下さい」
「うん、いいよ。陽菜の気持ちは変わらないですから」
「……わかった。ありがとう。ねーさん、陽菜」
凛は安堵の表情を見せる。
そして3人は、アイコンタクトをして、笑いあった。
この先も、ずっと平穏な日々が続くであろうことを信じて。
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