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――――――
「というわけなのですよ、優芽」
その翌日、二人きりでの下校中、イブキは優芽に昨日の出来事を話すことにした。
「にゃるほろ~。オモシロそうなことになってきたねっ!」
親友は心底愉快そうにぴょんぴょん跳ね回る。
ピンク色のポニーテールが宙を舞い夕日の橙を乱反射した。
「む……。貴女の酒の肴にするために話したのではありません」
優芽が彼女らの恋の行方を愉しんでいるのは今更言うことでもないが。
「まーまー堅いことはいいなさんな。んで、イッチャンとしてはどうなのさ。これからどうするつもり? マー君に告白するの?」
「それは……また別の話です」
自分の気持ちは自覚した。
宣言もした。
それでもまだリスクとリターンを考えてしまう自分にうんざりしてしまう。
「難解だねぇ」
「そういう性分なのです」
諦観、主観、妥協、願望。
様々な感情を混ぜた表情をするイブキに、優芽は「にししっ」といつものように八重歯を見せた。
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