丁重におもてなしをしましょう

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『え……?』 話を聞くために客の正面に座る雅人と、少し離れたところに立つ三姉妹は一様に口を丸く開いた。 雅人はなんとか話を繋げる。 「ええと……貴女……鳳(おおとり)ユーフェミアさんが、俺のメイドになりたいと」 「はい。こう見えて、家事全般は教養として身につけているつもりですの」 鳳家第三子、鳳ユーフェミア。 愛称ユフィ。 お嬢様然とした白のワンピースとピンクのカーディガンがよく似合い、その胸元では金のブローチが光っている。 純金を溶かしたようなきらびやかな長い金髪。 瞳は澄み切った空のような碧で、やや垂れ目なのもむしろ愛嬌に拍車をかけていると言える。 華やかな雰囲気とハーフのため日本人離れした発育の良さを兼ね備えながらも、常に柔らかな微笑を浮かべる顔には人当たりのよさと気品を感じさせるため、決して相手を嫌悪させない優雅さを醸し出していた。 「それからわたくしのことはユフィとお呼び下さい。同い年ですし。ふふ……雅人様とは先日のパーティー以来でしたか。お元気そうで何よりですの」 鳳家と西園寺家はどちらも有名な医療機器メーカー ライバル同士ではあるが決してギスギスした関係ではなく、経営・プライベートで関わりがある。 先月ユフィの16歳の誕生パーティーが催され、顔合わせの意味合いも兼ねて参加した雅人と、そこに同行したイブキは面識があった。
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