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ユフィは「そうですか」と一旦言葉を切って、一瞬だけイブキを値踏みするような鋭い眼をみせた。
「本人……イブキさん達はどう思っておりますの?」
「もちろんラブラブですよ。ね、イブキさん?」
不意打ちを食らったイブキは、4つの瞳に見つめられる中、なるべく平常心で答えようとする。
「……御主人様。ですから私達はただの使用人ですと何度も申し上げております」
と、いつものように眼鏡のブリッジに触れたところで手が止まった。
(あ、ああーっ!? 私はまた何を言ってるのついこの間『頑張る』とか言っておいて!)
「あらあら、そうですか。うふふ」
ユフィは全てを見透かしたようなゆったりとした笑み。
「むむむ……イブキさん攻略はなかなか手強いですね」
雅人はイブキの悩ましげな様子を、本人とは違う意向で解釈していた。
「……と、そろそろ夕食が近い時間か。ユフィ、料理はできる?」
「はい。お任せ下さいませ、雅人様」
まるで接客のよさがウリの大手デパート従業員のようにハキハキと明るく答えた。
「イブキさんも、それでいいですか?」
「はい。構いません。御主人様」
正直、イブキとしては自分達の居住スペースに急に入り込まれたようであまりいい気がしなかったが、雅人がこちらにも確認を取る気遣いを見せてくれたので今回はまあいいかと思えた。
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