【完全版】堅物メイドは隠れＭ!?

丁重におもてなしをしましょう

「美味しい料理を、可愛いメイドさんに『あーん』して食べさせて貰う……。くぅ……幸せすぎる！」

雅人はこの世の幸福を噛み締めるように唸る。

ユフィが首を傾げると、首にかけてあるブローチが揺れてシャンデリアの光をキラキラと反射する。

「あら、今まで他の方は食べさせては下さらなかったですの？」

「ああ、そう。前に頼んだときは――」

言いながらイブキに視線を移す。

「『テーブルマナーに反することは致しかねます』御主人様」

気づけば凛と陽菜も、じっと雅人の方を見ていた。

「あ、あれー。ヤキモチかな？……おい凛、どした、足を小突いて」

「うっせ。飯どきに目の前でイチャつかんでくれよ」

正面に座る凛はあからさまに不機嫌そうに。

「ふふっ……お兄ちゃん、楽しそうですね？」

陽菜はむしろニコニコとしていた。ただし、さっきから仮面のようにずっとその表情で目の光がいつもより失われているように見える。