早起きは三文の得

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朝の西園寺邸に、肉の焼ける音と香辛料の匂いが広がる。 台所に立つイブキは流れるような手つきで肉野菜炒めをつくり、朝食で使う大皿と4つの弁当箱に分配していく。 ちなみに通学前の朝であるが、わざわざメイド服で家事を行っている。 正直、朝にいちいちメイド服を着るのは面倒だが、雅人が「朝にメイドさんに起こしてもらうのが男のロマンなんだ!」と熱弁したため、イブキは毎朝律儀に着替えてから朝の準備をしている。慣れって大事。 「これでよし、っと」 達成感を味わうように一人呟いた。 隣のコンロにあるコーンスープはすでに一度火を通してある。 最後に、トースターに食パンを入れて、準備万端。 食器を持ってダイニングに移動。セットしたのち、その流れで西園寺家の人々を起こしに行く。 イブキ以外の3人は基本的に朝に弱く、朝食と昼飯の準備をイブキに頼っているためさらに朝起きてこないという悪循環に陥っている。 しかしイブキも慣れたもので、むしろ一人で順序立てて準備をしたほうが早いという結論に達したため現在の形となった。 イブキは凛、陽菜を起こしたあと、なんだか寮の管理人みたい、とか思いながら雅人の部屋へ向かう。
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