丁重におもてなしをしましょう

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「はい。阿佐ヶ谷様のお名前は以前より伺っておりますわ。我が社も何度か開発協力を依頼しているのですが、なかなか難しいですの」 「まあ、確かに優芽さんは気分屋だからなぁ……」 ちなみに西園寺家とはすでに技術開発協力の契約を結んでいる。 その契約の際、直々に依頼に行ったのは西園寺のトップであり雅人の祖父・西園寺晶仁。 彼もそうとうな変わり者のため、優芽とは何か波長が合ったのだろう。 優芽曰く、契約した理由が『しゃちょーさんが面白い人だったから』らしい。 『楽しい』『面白い』を行動原理とする筋金入りの快楽主義こそが、優芽を天才たらしめている所以でもある。 「それで、阿佐ヶ谷様はこちらによく来られるのですか?」 「そ。ふつーに遊びに来たり、新しい発明品の試作テストやら実験をさせられたりするよ」 優芽を知っている人からすれば、その道の有名人がほいほい気軽に訪問してくるこの屋敷は異常なのかもしれない。 ユフィが「はぁ」と相槌を打ったところで、イブキはスッと眼鏡のツルを直す。 「優芽なら頼めば他言はしないでしょう。ユフィと面識があるならなおさら話が速いと思います」 むしろ『修羅場キタコレ』とか言ってニタニタと傍観しそうだなとイブキは予想。
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