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「……ってことは、ねーさんはユフィと雅人がくっつくのには反対ってことでいいんだな?」
「ええ。嫉妬……もあるのでしょうが、まずユフィの行動が不自然すぎます。何を考えているかわからない人間を御主人様に近づけるわけにはいきません」
急に家出してここに来たこと。
家出という突飛な行動をしておきながら『メイド好き』『庶民嗜好』といった雅人についての下調べはしてあること。
妙に雅人にアプローチを仕掛けてくること。
単なる好意か、あるいは他の目的か。
全く手の内が読めない。
イブキと凛が思考を始めたところで、それまで口を閉ざしていた陽菜が声を張り上げた。
「お姉ちゃん、そんな話をしてる場合じゃないですよ!………と思います」
イブキと凛が驚いた顔で見るので、最後が尻窄まりになってしまった。それでもまだ言葉を続ける。
「確かにお兄ちゃんを信じたいですけど、ひょっとしたら……お兄ちゃんとユフィさんがこのまま……もしかしたらもうすでに……」
顔が赤くなったり青くなったりと忙しい。
イブキと凛も、最悪の事態を想定してしまい、陽菜と同じような反応をした。
もう堪え切れないとばかりに、陽菜はバンとテーブルを叩いてから立ち上がる。
そして拳を握り締め、声を震わせながら、宣言した。
「陽菜たちも、行くです!」
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