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ポケットの携帯電話を見ると、6時59分55秒。
5秒待ってから、3回ノックをする。
返事はない。
「失礼します」
扉の向こうには比較的広い部屋。
壁のいたるところにポスターが貼ってあり、他にも漫画、ゲーム、雑誌、フィギュアの類が所狭しと置いてある。
このコレクションは全て『メイドもの』であり、二次元三次元エロ非エロを問わず集められている。
イブキはそれらを視界に入れないようにして、四人くらい平気で寝られそうなベッドに近づく。
雅人は『おはようございます、御主人様♪』とモエっとした音声とモエっとしたイラストが付属した目覚まし時計を止めたままで、本人も二度寝という停止状態であった。
イブキは雨戸を開け、部屋を明るくしてから、うやうやしく一礼。
「お早う御座います、御主人様」
声に反応して、雅人はもぞもぞと体を起こす。
「んぁ……おはよ、イブキさん。今日も綺麗ですね」
「ええ、今日も御主人様がいつも通りで安心しました」
「お目覚めのキスは?」
「しません」
今日もまた、いつも通りで、ちょっと楽しい日常が始まる。
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