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部屋に二人だけの声が流れて、凛は気づく。
(あれ、今、二人っきりだ……)
家や学校でも、最近二人だけでいることって、なかなか無い。
だからなんなんだと、頭を軽く振って考えないようにする。
しかし、意識しないようにすればするほど意識してしまうのが人間の心理。
(こいつはこいつで自然としてるし、あたしのことを悪友かなんかとしか思ってないのか?)
セーターの糸のほつれがどんどん拡大するように、考えの綻びは更に綻びを生む。
凛の頭にはユフィの言葉が頭をよぎった。
『ほらほら雅人様、御三方のように素直じゃない子達から、わたくしにくら替えしてもよろしいのですよ?』
確かに、雅人に対してキツイ態度を取り続けてきたと思う。
だからひょっとして、ここにきていい加減飽きられたり、呆れられたりしてるんじゃ――――
「凛、どうした? 考え事か?」
「!?」
当の本人がひょっこり覗き込んできた。
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