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そう言って優芽はおもむろに上着のポケットからジッパー付きの小さいビニール袋を取り出す。さながら深夜の通販番組のよう。
「そこで今日は、こんなのを用意してきました」
中には、薬品を思わせる青、赤、黄の3つのカプセルが入っていた。
イブキが眼鏡の弦を抑えながら胡散臭そうな目をする。
「なんですかそれは。まさか御主人様に惚れ薬でも飲ませようってわけではありませんよね?」
「違う違う。これはイッチャン達が飲むもの」
ゆっくり首を横に振ってから、
「フェロモンって知ってる?蛾が出す誘惑物質ってのが有名だね。で、この薬は人間からも微弱に出ているフェロモンの分泌を底上げするってわけ。もちろんオーダーメードで作ってあるから、効果のほどはお墨付きさっ」
イブキと凛はあからさまな疑いと、反則とも言える選択肢に躊躇する。
そんな中、真っ先に優芽に答えたのは、
「は、はいっ! 陽菜飲みますっ!」
意外とも言える陽菜だった。
バッと、肩が外れそうな勢いで手を上げる。
「よく言ったよハルにゃん! あーしはその一歩踏み出す勇気を讃えるよ」
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