1838人が本棚に入れています
本棚に追加
――――――
「なんか廊下で優芽さんに『ゆっくりしてってね』って言われたんだけど、なんのこっちゃ」
部屋に戻った雅人はベッドに腰掛けるが、不自然な空気に気づく。
ゲームを開始しているわけでもないのに、三姉妹は無言で視線はやや下を向いている。
「……みんなどうした?」
イブキがゆらりと立ち上がり、雅人の右隣に座った。
「!? イブキさん、顔真っ赤ですよ! また風邪ですか!?」
以前のように額に手を当てる。しかし今回は、イブキに手を握られてしまった。
「御主人様ぁ……」
「え!? え!? イブキさん!?」
普段のイブキからは考えられない蕩けきった声と、指を絡めて恋人つなぎをされてしまっていることに顔が熱くなる。
「御主人様、こういうのはお嫌いですか?」
嬉しいことこの上ないが、あまりに唐突過ぎて事態に頭が追いつかない。
雅人は焦りを見せないようにしつつ。
「そんなことありませんよ。イブキさん」
「ふふ、それでは……」
最初のコメントを投稿しよう!