友達は大切にしましょう

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イブキとしては頼られるのは嬉しいのだか、自分のような内気な人間と関わっていては優芽の株が落ちるのではとたまに心配になったりする。 が、そんなことお構いなしに、今日も優芽はフルスロットルだった。 「あっはっはー。リアル機械鎧(オートメイル)を作ってたら夜が明けちゃってさ!」 今でこそ徹夜明けのハイテンションであるが、いつも授業開始とともに爆睡し、結局定期テスト前に『イ゛ッヂャ゛ン゛ン!ノート見せて下さいぃ!』とイブキに泣きつくのがお決まりとなっている。 そしてこの調子では今年もそうなるであろうとイブキは予想。 「まあ、いいですけど。はい、課題のプリントです」 「やたーっ! ばんざーいっ! イッチャンありがとーっ! テラ愛してる!」 どうして自分の周りには『愛してる』なんて軽々しく言える人間が多いのだろう。言葉が軽くなると、伝える気持ちまで軽くなるんじゃないか、とかイブキは一人考える。 「優芽。毎回言ってますけど、次からできるだけ自力でやって下さいね?」 「ふにゅ~。発明のロマンに漢文はいらないよぅ~」 「科学者が自ら可能性を潰していいんですか? 漢文の中に新たな発明のヒントがあるかも知れませんよ?」 「むむっ! それもそうかも! よし、じゃあ今日はいつもより気合いいれて丸写しするよ~」 「ああ、根本的な解決はしないのですね」
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