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そのまま脱力したように雅人の肩に頭をもたれ掛かる。上気した頬のためか、眼鏡が少し曇っていた。
「今だけは……甘えさせて……下さい」
「うっひょあぁあああぁ!?」
イブキの言葉と肩にかかる重みに心臓が跳ね上がり、声が裏返る。
右手を両手で包まれ、端から見れば仲睦まじく寄り添うカップルのよう。
（落ち着け俺落ち着け俺何だこの状況は何かおかしいおかしいおかしおかお）
「甘えんぼなイブキさんサイコォォォーッ！」
結局は心の声が漏れ出てしまった。
「こら雅人っ！ 何ねーさんに色目使ってんだ！」
雅人が正常な思考回路を失いかけたところで、今度は凛が左腕を掴んできた。
「凛、今俺はイブキさんに心奪われたことを認めよう。だからその嫉妬と愛のこもったパンチは甘んじて受け入れて……って、あれ？」
身構えた雅人が改めて凛を見れば、その息遣いは荒く、いつもの強気な目はトロンと目尻が下がって潤んでいる。
「はぁ、はぁ……雅人ぉ……」
「お前もかぁぁぁぁあっ!?」
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