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(ああ……ユフィも、御主人様も……そんな……) ズキンと、イブキの胸は痛んだ。 ユフィが雅人の手指を絡めたところでイブキは一歩前に足を出していた。 「ねぇ、雅人様――」 「いい加減、やめてください!」 『!?』 体の横で拳を握り締めるイブキ。 皆の視線が集まる。ユフィは一人、冷ややかな目線。 「イブキさん、何を必死になっておりますの? イブキさんと雅人様は『ただの主人と使用人の関係』だと自分でおっしゃっていたでは――」 「好きなんです!」 イブキの言葉に、部屋にいる全員がはっと息を呑む。 言ってしまった。 後にはもう引き返せない。 でも、たまにはわがまましてもいいと思えた。 「……私は、御主人様のことが、好きです……!」 ――だって私も、恋する女の子だから。 「御主人様が自分の発言に責任を持つために私達にアプローチしてるかもとか、そんな些細なことはどうでもいいんです! 私が御主人様のことが好きで、御主人様は、私達の御主人様なのです!だから……ユフィは手を引いてください……!」 声が震える。 怖い。 雅人の驚いた顔が網膜に焼き付いて離れない。 こんな勢いと感情にまかせた言葉が拒絶されてしまったら。 今の緩やかな関係が壊れてしまったら。 そう考えると、いてもたってもいられない。 それでも、言わずにはいられなかった。
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