友達は大切にしましょう

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ここ私立大河内学園は、企業家である大河内清隆の私財によって設立された。 以来、独自のカリキュラムと多くの著名人を輩出したこと、安くはない学費の為、金持ちの学校であることで世間には知られている。 優芽の家は資産家ではないため、特待生として入学した。 評価された能力は『発明』。 優芽は表立って名は知られていないが、その筋では有名であり、工学、科学、化学問わず様々なものを作り出している。 本人はあくまでも『趣味』としているのも、世間に名を知られていない理由の一つだったりする。 ちなみに優芽は学力が高いかと言うとそういうわけでもなく、理系科目は授業中ずっと寝ていてもテストでほぼ満点を取れるが、それ以外は壊滅的という典型的な天才気質である。 「そうそう、昨日は仕事の依頼交渉の話もあって忙しかったんよ。しかも社長令嬢が直々でおいでなすってさ。これがまたメイド服を着せたくなるような可愛さだったねぇ」 優芽の比喩表現はたまによくわからない。 「あ、そうだったんですか」 「ま、そんなことよりさ、イッチャン」 漢文のプリントをサラサラと丸写ししながら、優芽の姿をぼんやりと眺めているイブキに声をかける。 「なんでしょう?」 イブキも長年丁寧口調を続けてきたため、完全に癖になってしまっていた。しかし優芽は『イッチャンの話しやすいのでいいよー』と意に介さないため気が置けない。 「マー君とは最近どう? ラブい方向に上手くいってる?」
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