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「そうですか。まあ、わたくしにとってもチャンスでしたから。わたくしは鳳家のためであればなんでもしますわ。貴女の力があれば、我が社はさらに発展するでしょう」
人当たりのいい笑顔を向けるユフィに対し、優芽はニヤリと唇を歪めた。
「会社としてもメリットあるだろうし、あーしに契約を結ばせた功績で、ふぃっちーがお兄さん方を出し抜いてふぃっちーのパパに後継ぎを認めて貰えるかもねっ」
「……!」
ユフィは営業スマイルを崩し、息を詰まらせる
「……本当に、貴女には敵いませんわ。自分の価値と、他人の心をよく把握していますのね」
「にししっ」
優芽は八重歯を見せて、黒の上着に両手を突っ込む。
「よーするに、あーしも、ふぃっちーも、イッチャン達も、みんなエゴを貫いた結果ちゃんとみんな得したってことさ」
「なぜ、そこまでするのですか?」
ユフィの問いに優芽は息を吐き、地平線の向こうでも見るような遠い目をした。
「あーしは見たくなったんだよ。『好きな理由は“好きだから”』なんて脆くて甘っちょろい考えがどこまで通用するか。ま、あの4人なら大丈夫だと思うねっ!」
優芽の主張に、ユフィは金髪をかき上げる。
「そのために制限時間付きの媚薬まで使いますか。……貴女はマッドサイエンティストなんて言葉では括れませんね。貴女は……人として何か欠落していますわ」
「いいねぇ、欠落、欠陥……実に人間らしい言葉だと思わないかい?」
唇を吊り上げる優芽に、ユフィはため息ひとつ。
「……そうですね。ところで、今後の予定ですが━━━━」
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