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イブキが凛に顔を向けると、つーっと三人の視線が凛に移動する。
「あ、あたしは、雅人のこと嫌いじゃないっつーか……」
そこまで言ったところで、雅人の爽やかな笑顔と、イブキと陽菜のムッとした視線が向けられる。
「うー、あー、もう!」
大股で雅人に近寄り、頭を両手でわしづかみにする。
「凛……痛たたたたたた! こめかみグリグリはやめてくれ!」
「うっせ! 変態! 女たらし!」
ひとしきり頭蓋骨を痛めつけたところで、凛は気の強そうな黒目がちの瞳で雅人を睨みつける。
「雅人」
「なに?」
「……雅人はあたしのこと、好きか?」
「もちろん大好きだ。凛、愛してる」
「なっ……! 『愛してる』は余計だろバカ!」
凛は瞬時に耳まで真っ赤にして、今度は雅人の頭をぐわんぐわんと前後左右に振る。
「ちょ、おわ、目回るって!」
「ったく、本当お前はバカでスケベでロクデナシだな!」
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